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楽知会・・・石光宗眞表千家茶道・茶事教室 (つくば教室・水戸教室)

つくば と 水戸 で表千家のお茶の教室を運営する 楽知会(主宰  石光宗眞)のブログです。 初心者にも、上級者にもご満足いただける本格的な茶道教室を目指しています。 楽知会が取り組む お茶のお稽古や、お茶事関係の情報を掲載していきます。

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弥生の茶事・・・初炭から濃茶まで

黒字・・・亭主と半東の反省
赤字・・・私の感想


お客様の席入り前に 釜はよく清めて 新しい水をいれ、炉には丸ギッチョ1本と割りギッチョ2本を下火として用意します。  濡れ灰をまいて整えられた炉に 火と火が呼び合うように赤くなった下火が置かれ、その上に黒く濡れて光る釜がのる姿は とても美しいものです。  お客様にはその状態のところへ席入りしていただくよう準備をしました。
ところが、不慮の出来事で正客の到着が遅れることが分かり、初炭の頃には 下火として用意している炭は 燃え尽きてしまうのではないか・・・という心配が出てきました。  そこで、急遽もう一組の下火用の炭に火をつけておくことに。 
結果的には、正客はわずかに遅刻しただけでしたので、最初に用意した下火が使えましたが、不測の事態に備えて 切らすことなく 予備を用意しておかなければならない物は 炭もお湯と同様と思いました。
そして、初炭をへて、懐石。丁度八寸の頃から釜の煮えがたち始め、中立の頃に一番の煮えを迎えていました。 お濃茶の時にベストの湯加減に保てたことは 本当にほっとしました。
しかし、釜鳴りの音は お客様をお見送りするまで続くことが理想だそうですが、今回それは叶いませんでした。 これはお客様が薄茶を召し上がっている間に火が落ちてしまったことを意味しています。  この日の茶事は続き薄茶で行うと決めていたのに、よく沸いているお湯にホッとして、中立の間に 釜を上げて炭の状態を確認しなかったことに原因があり、今後の大きな反省材料として残りました。


普通、懐石でお湯が出されると、詰の飯椀と汁椀にお湯が注がれるまで 正客以下全員が飯椀と汁椀に蓋をして待ちます。  そして詰まで湯がいきわたると 正客の「ご一緒に」という声のもとに 皆が食べ始めます。  ところが、今回の正客は連客を待たずに すごい勢いで食べ終わると器類の始末を始めたとか。  その勢いにつられて他のお客様方も大急ぎだったと伺いました。  中には「気忙しい」と感じた方もあったようですが、濃茶の時の湯相から考えると「そのスピードは意図的?」とも思えます。  少なくとも悠長にのんびり食べたり片づけたりしていたのでは、濃茶の頃には既に火が弱くなり過ぎていたでしょうから。    

もし意図的だったとしたら、亭主は正客に助けられて ベストの湯相で濃茶を練り上げたことになります。  
お茶は「読みの文化」ともいわれます。  先を読んで判断していくことは、正客の大切な仕事でもあります。


今回、亭主と半東は 「中立の間に炭がどうなっているのか確認しなかったせいで 薄茶の湯相を保てなかった」と反省をしていますが、 濃茶に至るまでの炭の具合は ベストだったと思います。  炭が落ちてきたら 後炭をして 湯相を整えてから薄茶をするのが 理想ですものね。  
お稽古で茶事をすると どうしてもお客様の人数が8人とか10人になってしまって、 時間を長引かせないために 無理やり続き薄茶で誤魔化しているような気がします。  少ない人数で 後炭もし、主客そろって火とお湯を囲めたら 温かい心の通い合いが生じるのかな・・・これこそがお茶かな・・・とも思います。

茶事が終わり 皆様がお帰りになった後で、亭主・半東そして私の3人は、釜を上げて胴炭を割り、沈んでしまった炭をかきあげて湯相を整え直しました。  そして再び上がり始めた釜鳴を聞きながら美味しい濃茶をいただきました。  ある種の達成感と心地よい疲労を感じながらいただく一服は 殊の外美味!  「これが井伊宗観 述べるところの『独座観念』 余人の入り込む隙なし」といいながら。

因みに炭は、初炭でついだものだけを最後まで無駄なく使い切りました。
 


 

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弥生の茶事・・・寄付

黒字・・・亭主と半東の反省
赤字・・・私のコメント


   
掛物は亭主の手による「静かな爆発」・・・春水満四澤の風情でした

火入れは魯山人作だそうです
魯山人が 亭主の鎌倉のお家に よく遊びにいらしていたとか

水張桶の持ち手は、斜めになるように置くとよかったですね
真横だと、蹲踞柄杓が桶の中に入り難かったと思います
いずれ 同じ場所に桶を置いて 使い勝手の検証をしてください

 
お客様の人数が多いときは  平素使っている4畳の寄付きでは手狭なため、隣の3畳との間の襖をあけ放ち、二間続きの寄付にしています。  二間続きでお使いいただけるよう、掛物や莨盆の置き場所には気を使ったつもりですが、気付いた時には、お客様全員が狭い3畳に 詰め込まれた状態になっていて、4畳との境の襖は閉じられていました。

また、当日は雨模様で露地をお使いいただけなかったので、寄付から直に手水を使っていただけるよう 水張桶を坪ノ内に用意していました。  しかし、それだけでは お客様に どうすればよいのかご理解いただけませんでした。
  
寄付の使い方にしても、水張桶の使い方にしても、 お客様に対して明快な言葉による説明が必要だと思いました。

普通 寄付には、掛物と莨盆が用意されます。  亭主は意図的に 玄関側の障子を1寸開け、4畳と3畳の境の襖はあけ放って、 4畳に掛物、3畳に莨盆を置きました。   
これによって、お客様の出入口は障子の部分、そして寄付きは二間続きということになります。だって境の襖を閉めてしまったら、掛物と莨盆が分断されてしまいますもの。
とはいっても、確かに寄付も水張桶も お客様には 分かり難かったかもしれません。
言葉で説明する必要は あったのでしょうね。


アップされた 水張桶の置き方 に関する記事を読んだお客様から「持ち手を斜めに置くぐらいでは駄目。      寄付の敷居からの距離と高さを考えないと、敷居の部分が水浸しになる」とのご指摘をいただきました。     検証の結果、水張桶は 石の上に直に しかも やや遠くに放して置くほうが 使い勝手が良い・・・との結論に至りました。     後日 写真をアップしますね。  
 

弥生の茶事・・・前日の準備

黒字・・・亭主の言葉
赤字・・・私のコメント


お茶事の前日には煙草盆の火入れの大きさを考えながら炭を選び・切り・洗い、箱炭斗に当日必要な炭(下火、中立で追加するかもしれない予備)を組み、濡れ灰はふるいにかけ準備しました。
 
随分あっさりと集約して語っていますが、実際には 亭主・半東ともに 午前10時から午後4時まで みっちりと前日の準備に時間を費やしています。
  
午前中の2時間をかけて 露地の清掃、そして午後から濡れ灰・火入れ炭などの準備、煙草盆の奉書の入れかえ、全ての道具を出して 取り合わせのチェック、運び出しの打合せなど。  成功のカギは 段取りにあります。
 

弥生の茶事・・・露地の清掃



露地のお掃除


露地の清掃は お天気に左右されます。  茶事の準備の最終段階は  天気予報を見ながら 露地を最優先にして いつ何をするかを 決めていきます。   
 
幸い 茶事前日は晴れ。でも当日は傘マークでした。

「明日のお天気次第では、今こんなに一生懸命掃除をしても、 お客様に使ってもらえないのよ」と言いながら、前日の午前中には 露地の植木の余計な枝を切り落とし、隅々まで掃き清めて 蹲踞の手水鉢や ごろた石の掃除も完了。  そして当日は、午前8時過ぎから外回りの掃除を始めて お客様の到着を待ちました。  
でも神様は意地悪ですね。  お客様が到着なさるころを見計らったように雨が降り出し、結局 お客様が露地にお出になることはありませんでした。

露地の掃除と精神性

私が40代のころ しばしば 稽古茶事をしていました。  露地の掃除も懐石の準備も 自分たちの手でしていたのですが、ある時「あそこに行くと 掃除ばっかりさせられる」という陰口が耳に入ってきました。 
一般的には 掃除は先生の仕事で、 全ての準備が整えられた稽古場に行って、指示されたとおりの手順で お茶を点てて 飲んで帰る のがお茶のお稽古です。    掃除をさせられる稽古場は 無礼で奇異と感じたのかもしれませんが、それを聞いて 短気をおこした私は「そう言われるぐらいなら、もう二度と掃除は頼まない」と心に決めました・・・「掃除して」と言わなくても その後も 手伝ってくれた人は沢山いますけれどもね・・・

でも今の私は 「掃除は頼まない・・・と決めてしまったのは 若気の至りであった」と後悔しています。

露地は 客と亭主が初めて出会う場所であり、俗世と清浄の地(茶室)とを隔てる結界の役割を果たします。    その地が汚れているのでは 露地が存在する意味がありません。  同時に、隅々まで掃き清めたり、蹲踞のごろた石を洗う などという作業をしながら、亭主は自らの心と向き合い、お客様を迎えるに相応しいところまで 自分自身を浄化させていきます。
スピードと効率を求めるのではなく、単純な作業を淡々とこなしながら、 自分と向き合う時間を持つことは、「お茶」が単なる遊興ではなく、精神の伴った「茶道」になっていくために必要不可欠な時間です。


正客からの労いの言葉

今回の茶事では 生憎の雨でお客様が露地を歩かれることはありませんでした。 

でも正客からは「中立の間に 露地の風情は 寄付きから存分に味合わせていただきました。  以前に伺ったときに比べると随分落ち着いた雰囲気になりましたね」という 言葉がかけられました。  
この声は亭主と半東に届いたでしょうか。  露地の管理の苦労を知り尽くした 正客からかけられた 労いと感謝の言葉です。

弥生の茶事

弥生の茶事の亭主・半東から備忘録が届けられました。  茶事は主客が協力して作り上げていくものなので「客の失敗は亭主の失敗・亭主の失敗は客の失敗」といわれます。これから何度かに分けて 寄せられた備忘録に 私がコメントを加えていきたいと思います。 客として参加された方々も ともに学び、考えていただけましたら幸いです。

黒字・・・亭主
赤字・・・私

弥生の茶事の3ヶ月ほど前に、日程が決まってからお茶事ということで何ができるかと思い巡らせた時、ブルーノ・ムナーリの詩「木はたった一つの種のゆっくりとした爆発」にヒントに見つけ、寄り付きに自作の絵「静かな爆発」とブルーノ・ムナーリの本を飾ることを基軸に、お茶事の趣向を考えました。

通常、寄付き・本席ともに自分が書いた(描いた)ものを軸として用いることはありません。  でも私は茶事で大切なことは 客を想い、趣向を考えてお持て成しすることと考えます。  自分の想いに添った道具がないからという理由で 茶事を催すこと自体を諦めてしまうのではなく 別の方法を考えてほしいと思います。  それが今回は 亭主自作の絵「静かな爆発」でした。 

 

まだ白紙の会記を眺めながら、先生のお道具をお借りしつつ、寄り付きの煙草盆の火入れ、お香、出し袱紗、主菓子・お干菓子を所縁のある京都や鎌倉関係で用意することにしました。主菓子は鎌倉のお菓子屋さんを幾つかまわり、義母や主人を巻き込んで試食し、「美鈴」に決めました。主菓子の形などの最終決定はお道具が決まってから全体のバランスを考えて「紋黄蝶」にし、その銘は前日に半東さんのアイディアをいただき「ひらひら」としました。

お干菓子は御池煎餅と、もう一つは社中の方が作ってくださったお干菓子「つくし」でした。「つくし」はとても美味しくお茶席の中でもひときわ皆さんに喜んでいただきました。


お客様に喜んでいただくために走り回る・・・というのも茶事に向けての亭主の心の表れです。  今回は、京都や鎌倉という亭主ゆかりの地から つくばや水戸では手に入りにくいお菓子を何週間もかけて吟味して選んでくださいました。  茶事前日に鎌倉までお菓子を取りに行ってくださったのは 亭主のご主人です。  目に見えない方々のご協力を頂戴していることも申し添えます

今回のお茶事では炭に関するいろいろな勉強をさせていただきました。まず、は初めて増田屋にて炭を購入したところ、箱を開けると黒い微粉末がたくさん出てきたことにびっくりしました。炭は桶にためた水で軽く洗った後、流水で流しながらタワシでこすり、天日乾燥しました。2月の晴天の日に外で作業しましたが、炭は綺麗だから屋内で作業すればいいのよとのアドバイスをいただきました。おかげで茶事の間も爆ぜることがありませんでしたが、いつも先生はこういうことをしてくださっているのだなと初めて知りました。

また、お炭のセットは炭斗に組むとそれほど余分に入っているわけではなく、思いの外少なく、日頃お炭を無駄に使ってきていたのではと反省しました。


今の世の中、炭は貴重品となりました。  平素の稽古でも「今が濃茶に最適な湯相だから急いで濃茶」とか「炭を読んでほしい」ということは何度となく言っています。  ところが日本語には「湯水の如く使う」という表現があるように 「水とお湯はタダで幾らでも手に入る」という暗黙の了解があります。   結果として私の社中に 炭を読むことの重要性を理解している人がいるようには思えません。

今回、亭主には「炭の購入」「たわしで炭を洗って炭斗に組む」など一連の作業を自らの手でやってもらいました。  
おそらく一番驚いたのは炭の値段。    購入してもらった一点前用の組炭では、炭斗に組むと、下火になるほどの炭は残らず、それでいながら炭代と送料とで4~5000円はかかっていたはずです。

炭は貴重品です。  そして 炭で沸かしたお湯も貴重品です。    茶事のみならず、稽古の時にも炭と水は無駄なく使い切るように・・・そして尚且つ、おいしいお茶が飲めるように 炭の具合を読んでください。

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