つくば と 水戸 で表千家のお茶の教室を運営する 楽知会(主宰 石光宗眞)のブログです。 初心者にも、上級者にもご満足いただける本格的な茶道教室を目指しています。 楽知会が取り組む お茶のお稽古や、お茶事関係の情報を掲載していきます。
お茶会にせよお茶事にせよ「相伴」という言葉をよく耳にします。初心者が一番最初にこの言葉に出会うのは、薄茶のいただき方を教わる時でしょう。 「まず薄茶がだされたら、上座に座っている人に `お相伴いたします´といい、次に下座に座っている人に`お先に´と挨拶をします。」 どなたもが先生からこのように教えられたと思います。ですが多くの方は、お相伴という言葉を聞いた途端にお顔の中に`´が点灯します。声にはなりませんけれども、表情は明らかに「なにそれ?」と語っています。
相伴とは
①従いともなうこと。
②主人を助けて正客の相手をし、ともに接待を受けること、人。
③他人のそばにいるために利益をうけること。
(①~③ 角川国語辞典より)
④連れだっていくこと。またその連れの人
⑤饗応の座に正客の連れとして同席し、もてなしを受けること。または、人の相手をつとめて一緒に飲み食いをすること。また、その人
⑥他とのつり合いや行きがかりで利益をうけること。また、他の人の行動に付き合うこと
(④~⑥ 小学館 大辞泉より)
これでご理解いただけますでしょうか。
大寄せのお茶会など不特定多数の方が集まる席では「共にご馳走になりましょう」という程度の軽い意味であるかもしれません。しかしながら、お茶事においては、正客と相伴客の立場を明確にする大切な言葉です。
時に連客がムードメーカーとなって茶席の雰囲気をリードし、正客が大人しく遠慮がちに座っていらっしゃることがありますが、これなどは努々あってはならぬこと。何故自分を相伴客に選んで下さったのかに心して正客の相手をつとめ、一緒にお茶をご馳走になる。 お正客があればこそ、共に接待をうけられることに感謝して、心から発する「お相伴いたします」であって欲しいと思います。
ついでに学んでおきましょう
相伴衆・・・正客に伴われて複数の連客が茶事に参会する時、その客のことを相伴衆とよぶこともあります。が、古くは室町時代に将軍の相伴役として宴席などに伺候した人たちを相伴衆と呼んでいました。謂ば選ばれた人々です。
相伴席・・・茶事において、次客から末客までが座る場所を相伴席といいます。
古田織部好みと伝えられる藪内家の燕庵(エンナン)は、3畳の客座の脇に相伴席が付設されていて、客座と相伴席は2枚の襖で仕切られています。この形式は武家社会において受け入れられやすい造りだったようです。
また、水戸出身で「大正名器鑑」の編集と刊行に力を注いだ高橋箒庵が好んだ茶室`箒庵’(護国寺)も3畳の客座の背後に1畳の板敷きの相伴席があります。これも境には障子を入れて客座と相伴席を隔てるつくりとなっています。
以上は、2007年6月に一度当ブログにアップした物に、少々修正を加えた文章です。
実は7年以上も前から、例えお稽古であっても、正客と連客の立場が曖昧模糊としていることが気になって気になって仕方なかったのです。
去る11/9の研究会で、澤井先生が正客と次客以下の歴然とした差を指摘なさいました。
聞いていた方の中には「いったい何言い出したんだ? 正客と次客にそれほどの差があるはずないだろう。」というお顔をなさった方もいらっしゃいました。
そのような方には、もう一つ考えていただきたいことがあります。濃茶が終わって、仕舞にかかるとき、亭主が発する「お仕舞いにいたします」という声に、何故正客だけが応えるのでしょう。
粗茶(濃茶)一服差し上げるためのお茶事において、亭主が本当の意味でお茶を差し上げる相手が誰であるかは、これによって特定されるのではないでしょうか。
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